2012年11月17日土曜日

童話コンテストに・・・落選(泣)


始めに・・・皆さん、一週間以上もブログを書けなくて申し訳ありませんでした。実は僕は、兄がホームスティしているネパールの家族の家にホームスティしました(兄はいませんでした)。そこではインターネットがありません。だから、ブログを書けませんでした。申し訳ありません。ちなみに兄は特別な機械を使ってインターネットに接続しています。

前回のブログで書いたように、今日は僕が童話コンテストに応募した作品を紹介します。僕が応募したのはJX童話の花束」というコンテストです。一ヶ月ほど前に結果発表がありました。僕は自信を持っていたのですが・・・残念ながら落選してしまいました。(結果発表のサイトはこちらをどうぞ。http://www.jx-group.co.jp/hanataba/awards/43/result.php)。すごく落ち込みました。
 
また、日本一の座をつかめませんでした。でも審査員の方々がどう思っていても、僕は自分の童話が日本一だと思っています。
童話のモデルになった足のない牛です。
 僕の書いた童話をどうぞお読みください。


      義足のガンガと足のない牛


 ヒマラヤの国、ネパール。山のふもとの村にガンガという少年がいました。ガンガの左足は義足です。3年前のひどいヤケドのせいで、本当の足を失ってしまいました。義足のせいでガンガは友達からひどくいじめられ、いつも一人ぼっち。目の前の大好きな山にも登れなくなってしまいました。
 ある日のこと。ガンガは一頭の牛がゆっくり、ゆっくり歩いているのを見かけました。よく見れば右の前足がないではありませんか。「ボクと同じだ」ガンガはその牛のことをかわいそうに思いました。
「あの牛になにかできることがないかな」ガンガは考えました。「そうだ!牛にも義足を作ってあげよう。」
 ガンガは牛の足に合う太さの木を探し、義足を作り始めました。牛の足のサイズに合わせて少しずつ、少しずつ木を削ります。そして作り続けて一ヶ月。ようやく義足が完成しました!
 義足を牛の足にはめると、牛は気持ちよさそうに歩きはじめました。「やったー!」ガンガは自分が義足をはじめてつけたときのことを思い出し、胸がいっぱいになりました。
 その日から牛の顔からは悲しそうな表情は消え、他の牛と一緒に仲良く村中を歩くようになりました。
 それから少したったよく晴れた日のことです。ガンガの前を通りかかった牛は、いつもと様子がちがいます。ガンガをじっと見つめ、目を離そうとしません。すると突然ガンガの心の中に牛の声が響きました。「ボクについて来て。君をつれていきたい場所があるんだ。」ガンガは体が飛び上がるくらい驚きました。でもあの牛の声が聞こえたことがうれしくて、ついていくことにしました。
 牛はときどき後ろを振り返り、ガンガがついてくることを確認しながらゆっくりと歩きます。ガンガの大好きなヒマラヤの山が、だんだん近づいてきます。牛はヒマラヤの山を登り始めたのです。ガンガは言いました。「ボクの足は義足だから無理だよ。登りたいけど登れないんだ。」牛はガンガが作ってくれた義足に目を落とし、またガンガを見つめて言いました。「僕も義足だよ。」とても優しい笑顔でした。
 ガンガは思い切って山を登り始めました。細い道を少しずつ、少しずつ。
 しかし、しばらくすると急に黒い雲が空に立ち込め、強い雨が降り風も吹きはじめました。ガンガは体が吹き飛ばされそうです。「ねぇ、もう無理だよ!登れない!!」それでも牛は歩き続けます。
 突然、これまでに経験したことのない猛烈な突風がガンガと牛を襲いました。周りの木は倒れ崖もどんどん崩れていきます。義足のガンガの小さな体ではとても支えられるようなものではありません。「まさか『ヒマラヤの嵐』・・・。」ヒマラヤの嵐のことを知らない人はこの村にはいません。百年に一度この村を襲う、恐ろしい嵐です。ガンガの体は強い風にあおられて吹き飛ばされ・・・。
 その時です。牛がガンガにかけより「つかまって!」と義足の前足をガンガの目の前に差し出しました。ガンガは必死で牛の義足につかまります。
「あーーーーーーーー」
 その後のことはよく覚えていません。気がつくとガンガと牛は森の中にいました。ガンガも牛も傷だらけでした。雨と風はすっかりやんで、夕方の優しい太陽の光が2人をつつんでいました。
 「だいじょうぶ?」ガンガは心配そうに牛に話しかけました。牛はじっとガンガの足を見つめています。ガンガは不思議に思い、自分の足に触れてみました。するとなんと、義足ではなく本物の足に戻っているではありませんか。
「ボクの足だーーー。ボクの足だーーー。」
ガンガは喜び、涙を流し叫び続けました。
 「牛さん、ほら見てよ。ボクの足だよ!」ガンガは右足を牛に向けました。しかしついさっきまでそこにいたはずの牛の姿が見えません。
 「牛さーん、牛さーん、どこにいるの?」
ガンガは大声で牛を呼び、探し続けました。
 すると突然。空から牛の静かなゆっくりとした声が聞こえてきました。
 「ガンガ君。本当は私はヒマラヤの神なのです。足のない牛に姿を変えて、君をずっと見ていました。君がとても優しい子どもだとわかったので、足を戻してあげることにしたのです。元気でね、さようなら・・・。これからもずっと君のことを見ているよ。」
 その後、足のない牛が姿を現すことは二度とありませんでした。
 「義足の少年が、ヒマラヤの嵐の日に山で遭難し、足を取り戻して帰ってきた。」このお話は、ここヒマラヤの村でいつまでもいつまでも語り継がれました。

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