2014年3月22日土曜日

学校文集の作文 「奇跡を起こしてくれた祈とう師さん」

僕の学校では、「どんぐり」という文集が毎年出版されます。全校児童の作文が載っています。僕はネパールで出会った祈祷師について書きました。自信作ですので、ブログでも紹介することにしました。ぜひ読んでください。
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     「奇跡を起こしてくれた祈祷師さん」


僕のために祈る祈祷師
  僕が昨年、ネパールに住んでいた時の出来事だ。
 冬休みに仲良しの友達の家にホームステイすることになった。午前八時。僕と友達は標高三千五百メートルのところにある村へ行くためのジープ乗り場にいた。一時間待ち、ようやくジープがたどり着いたと思ったら、ジープではなかった。目の前にあるのはボロボロのトラック。「まさか」と思ったが、その「まさか」が当たってしまった。僕はこれから七時間、この乗り物の荷台に乗って村まで行くのだ。荷台には六十人もの人々。座るスペースなどなく、ずっと前を向いて立ち続けた。想像を絶するほどのつらさだった。何度も吐き、がけから落ちそうになるのが怖かった。倒れそうになりながら村に着いたときには、もう力が残っていなかった。
 友達の家に着くと、僕はすぐ床に横になった。とても疲れていたせいか、そのまま一時間ほど眠ってしまった。目が覚めると、友達が散歩に誘ってくれた。しかし、まだ少し吐き気がして断り、再び眠ろうとした。その時だ、いきなり口の中に、お腹の中の物体が湧き出してきた。そして、立て続けに三回吐いた。三度目の嘔吐で、ネパールに良くある感染症を考え始めた(トラックの中を含めればこの日十回は吐いていた)。どうしたらよいか僕の友達に聞くと、彼は走って家を出て行った。
 しばらくすると、見知らぬおじいさんが家の中に静かに入ってきた。そして、僕の顔をしばらく「じいっと」見つめ、友達に僕の名前を何度も確認した後で、ぶつぶつと小さな声で何かを言い始めた。
「祈祷師だ。」
僕はすぐに分かった。祈祷師のことはネパールに来てからよく聞いていた。祈祷師とは、国語辞典によれば、「神などに祈る人のこと」だそうだ。
祈祷師は、僕の額に手を置き、ネパール語でお祈りを始めた。言葉は分からなかったが、たびたび僕の名前が入っているのを聞き取れた。次に皿に水を入れ、再びぶつぶつと小さな声で祈っていた。このような動作を四回繰り返し、最後に「元気になあれ」とネパール語で言って帰っていった。世の中には不思議なことを考える人がいるものだ、と思った。
しかし、祈祷師が帰った後すぐに眠り、次の日朝起きると、なんと・・・
治っていた。奇跡の回復だ。いきなり元気になった。本当に奇跡のように治ったので、もしかしたら祈祷師のおかげかもしれないと思った。
 実際に吐き気がなくなって元気になったのは、祈祷師のおかげかどうかは分からない。でも祈祷師の方の気持ちが神様に通じて僕を助けてくれたのだと考えると、うれしくなる。もしかしたら、祈ることで病気を治せることができるのかもしれない。とにかく、とても感動した。祈祷師さん、本当にありがとう。

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