2024年3月27日水曜日

おとことおんな、裸、サウナ

  2週間前、イギリスでの全授業が終了した。ダラム大学は3学期制だが、授業があるのは2学期のみ。3月中旬から10月初旬まで実質休みというちょっとおかしなシステムだ。

 先週から1ヶ月間ベルリンにある親戚の自宅に住まわせてもらっている。私自身、ドイツ人としてのアイデンティティを確認できるまたとない機会だ。今までドイツに住んだことがないため、まだまだ知らないことばかりだが、今回はドイツの「裸」に対する考え方について書こうと思う。

 ドイツにはFKKという文化がある。Freikörperkulturの略で、裸体主義(Naturism)と訳すことができる。裸体主義とはつまり「服を脱ぎ捨てて解放されようぜ!」ということらしい。様々な公園やビーチには「FKKエリア」が設置されており、男女問わず全裸で過ごすことができる。サウナやスパも男女混合が基本で、水着の着用は禁止されているのだ。現代ではほとんどの国で男女が公共の場で全裸になることは禁止されるようになったが、ドイツでは逆に服を着ることが禁止なのである。

 一方、イギリスは対照的で、サウナでは水着着用必須なのはもちろん、上流階級の人ほど肌を露出させない風習があるらしく、脚を露出させることですら控える文化があるらしい。こんなにも近くにある国なのに全く文化が違うというのはとても興味深い。

 ただ、重要なのは、ドイツでいかにサウナが混浴であったり、ヌーディストビーチがあったりするからと言って、そこが性の場になることはない。なぜかというと、裸や性に対する考え方が日本とは全く異なるからである。混浴サウナでは、誰も他人のことを気にしていないし、裸をジロジロ見合うようなことも一切ないのだ。

 この文化を知ったことは、日本の痴漢について振り返るきっかけとなった。痴漢のみならず、盗撮、強制わいせつに関するニュースがしばしば報道される。そんな日本でサウナが混浴で水着着用厳禁だったらどうなるのか、想像に難くない。

 痴漢をする人はあまりにも他者へのリスペクトが欠けていると思う。私の知り合いは、満員電車に乗ると毎回と言っていいほど痴漢をされると言っていた。痴漢ってそんなにありふれているのか...と衝撃を受けた。しかし、その情動による一回だけの行いが他人の人生を壊してしまうことになる。電車に乗ることが怖くなり、男性不信に陥ったり、自分に自信を無くしたりする。一時的な欲望によって、他人の人生を壊すことは辞めてほしい。辞めてくれ!!

 ドイツの裸になることが良しとされる文化が日本でも当たり前になればいい、ということではない。そして、おそらくドイツのサウナでも、少なからず異性の裸に対して何かを感じている人はいるだろう。ただ、そこにはリスペクトがあるからこそ、男性も女性も良い意味で他人の目を気にせずに過ごすことができるのだと思う。そんな文化に触れ、痴漢が無くなればいいな、と漠然と思ったこの頃だった。


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